和室の必需品といったら、
まず思い浮かぶのは座布団ですよね。
現在の日本式住居の場合、畳の上に直に坐ることは殆どなく、座布団を使用することはもはや日常の通例になっている。(引用 : 文化女子大学研究紀要編集委員会 研究紀要より 原島陽一著『座布団史考』)
そのくらい私たちの生活と切り離せない座布団。
実は座禅でも必需品です。
お寺の正式な座禅でも座布団と座蒲を使います。
これだけで辛い座禅がグーンと楽になるので、
自宅で座禅をする時も使わないテはありません。
ただ、正しく使わないとあまり意味がなくて
もったいないので、今回は
- 座布団と座蒲についてのFAQ
- 座布団と座蒲の使い方&作り方
- おすすめの座布団と座蒲を紹介
など、ちょっとした工夫で座禅が楽になる方法を
解説していきます。
「座禅は興味あるけれど、足が痺れるのは嫌・・・」
と躊躇している方は必読です!
座布団と座蒲の違いって?ちょっと聞き辛い基本事項をこっそり解説
その昔、道元禅師は
師の書物『普勧坐禅儀』の中で
このように述べています。
尋常(よのつね)坐處(ざしょ)には
厚く坐物(ざもつ)を敷き、
上に蒲団(ふとん)を用う。
出典 : 道元の書『普勧坐禅儀』より
つまり、
「座禅をする時は座布団と座蒲を使います」
ということですね。
座禅には座布団と座蒲を使った方がいいことが
わかったところで、
まずは座布団と座蒲についての基本事項を
解説しておきます。
座禅に使う座布団や座蒲は
かなりのマイナー分野なので人に聞くに聞けない
こともあるかと思います。
そんな「マイナーな疑問」を集めてみました。
座禅用座布団とは?大きさの目安などについて
座禅では基本的に
結跏趺坐または半跏趺坐という型で
胡座を組みますが
(*厳密には結跏趺坐・半跏趺坐と胡座は別物です)
座禅をする場所の床は大抵板張りか畳です。
自宅の部屋でフワフワの絨毯敷き!という
場合もあるかもしれませんが、
どちらにしても、床に直に胡座の姿勢で座って
一定時間じっとしているのは辛いですよね。
そこで、座禅をする時は
座禅専用の大きめな座布団を床に敷いて使います。
普通の大きさの座布団だと
胡座を組んだ時に膝がはみ出てしまいますので、
80㎝ × 80㎝
くらいの大判のものがおすすめです。
長座布団、お昼寝マットなどでも代用可能です。
座蒲って何?読み方や座蒲と坐蒲の違いも教えて!
座蒲とは?
座禅の結跏趺坐・半跏趺坐の姿勢は
座布団の上でただ胡座をかくのではなく、
その姿勢でお尻を少し高くして
両膝が床面につくようにします。
そのため、床に敷いた座布団の上にもうひとつ、
小さくて厚みのある丸い座布団を置いて、
その上にお尻を乗せるようにして使います。
この一回り小さく厚い座布団を座蒲といいます。
座蒲は座布団の一種で、
直径30㎝前後 × 高さ20㎝前後 が目安です。
座蒲の読み方・座蒲と坐蒲の違いは何?
座蒲と書いて「ざふ」と読みます。
「座蒲」ではなく「坐蒲」と表記することも
ありますが、これは「坐」の字が常用漢字でない
ためで、どちらも同じものを指します。
ちなみに、同じような理由で
「ざぜん」自体も「座禅」と表記する場合と
「坐禅」と表記する場合があります。
漢字の意味から考えると、
「座」は座る場所を表わし
「坐」は座る行為そのものを表わすので、
本来の意味的には「座禅」よりも「坐禅」と
表記する方が相応しいとする考え方も多く、
それに合わせると「ざふ」も「坐蒲」という
表記になることが多いようです。
座禅用座蒲はビロード製がいいのは何故?
お尻を高くして膝を床面につけるという
座禅の姿勢は、たとえ座蒲を使っても
慣れるまではなかなか上手くできません。
体幹でしっかり姿勢をキープしていないと
徐々にお尻が前に滑ってきて膝に体重がかかり、
足は痺れるわ、膝は痛いわ、の地獄状態で
大変なことになります。
そこで、少しでも苦痛を伴わずに長時間
座禅の姿勢をキープしようと思ったら、
座蒲の素材選びも重要なポイントです。
その点、ビロード素材のものは
滑りにくく肌触りも良いので、
座蒲の表面の素材には打って付けです。
座蒲の中綿は、ポリエステルよりも
パンヤの方がヘタリにくくておすすめです。
座禅用座蒲はクッションで代用可能?
座禅用座蒲はクッションで代用することも
できます。
ただ、その場合も、中の詰め物の密度が高く
長時間座っていてもヘタりにくいものを
選んでくださいね。
肌触りがトロトロして気持ちいいクッションは
座った時に滑りやすく
中綿もフワフワ過ぎることがありますので、
座禅用に座蒲を選ぶ時は
よく触って感触を確認してくださいね。
座禅用座布団&座蒲の使い方!両使いをおすすめする理由
座禅は罰ゲームではありません。
座禅をする時は、あえて冷たい床の上に直に座って
足の痺れや膝の痛さと闘う必要はありませんので、
遠慮なく座布団と座蒲を使いましょう。
特に初心者は胡座を組むだけで一苦労ですので、
足の痺れや足首・膝の痛みによって生じる雑念は
極力払っておくのが、
座禅を気持ちよく続けるための秘訣です。
座布団、座蒲どちらかだけの使用でも構いませんが
せっかくなら両方使って快適に座禅をしましょう。
結跏趺坐・半跏趺坐や手の組み方などの
詳しいやり方は、こちらの記事をご参照ください。
座禅用座布団&座蒲の使い方(曹洞宗の場合)
曹洞宗の座禅では、
前述のような大きめの座布団を床(畳)に敷き、
その上に丸い座蒲を置きます。
お寺で開催している座禅会などでは
下の座布団は無しで座蒲だけを使用することも
一般的なようですが、
自宅でやる場合はご自分が一番快適に座禅できる
スタイルであることが重要ですから、
遠慮せず座布団も使用して足に負担がかからない
ようにしましょうね。
結跏趺坐・半跏趺坐が辛くてできない場合は
正座スタイルで膝の後ろに座蒲を挟んでください。
正座もできない場合は、
椅子に座っての座禅も可能です。
座禅用座布団&座蒲の使い方(臨済宗の場合)
臨済宗の座禅は
曹洞宗とは座布団&座蒲の使い方が違います。
座布団は比較的厚めのものを敷きます。
その上に置く座蒲は曹洞宗の丸いものとは違って、
長方形で厚みのある枕のような形をしています。
これが曹洞宗と臨済宗の座蒲の違いです。
このような四角い座蒲がない場合は
普通の大きさの座布団を二つに折って使うことで
代用できます。
座禅用座布団の作り方!自分専用オリジナルを作ってみよう
自宅で座禅をするなら、
手芸屋さんで気に入った生地と中綿を選んで
座布団や座蒲を手作りしてみるのもいいですね。
手作りすることで愛着が湧いて
3日坊主にならずに長く続けられそうです!
座布団は中綿の詰め方などがちょっと難しいので、
ここでは初心者でも簡単に作れる座蒲の作り方を
詳しくご紹介します。
ちなみに、座布団の作り方はこんな感じです。
自作する場合は、80㎝×80㎝ で採寸の上
作成してくださいね。
座禅用座蒲の作り方!普段使いのクッションとしてもGood
座禅用座蒲は、
少し固めの普通の円形クッションでもよいですが
せっかく作るからには
20㎝程度の高さのあるものを作りたいですね。
こちらの動画のクッションはヨガ・瞑想用で
直径40㎝のビーズクッションですが、
作り方は座禅用座蒲にも応用できますので
縫い方の手順などはこちらをご覧ください。
座蒲の場合は、直径30㎝ × 高さ20㎝ として
必要な材料は以下のとおりです。
縫いしろ約1㎝、側面の布は少し余裕を持って
採寸しています。
- 直径32㎝の円形の布 2枚
- 22㎝×100㎝ の布 1枚
- パンヤ 1kg程度
自作する場合、滑りにくい生地を使用して
パンヤはパンパンに詰めるのがポイントです。
飾りボタンは無くてもOK!
素敵な座蒲を作ってみてくださいね!
座禅用座布団&座蒲!使いやすさ抜群のおすすめ4選
「自分で作るのはやっぱりちょっと無理・・・」
という方のために、
おすすめのショップをご紹介します。
① 一疋屋の座禅用座布団&座蒲は老舗ならではの豊富な品揃えが評判
自宅で臨済宗の座禅をするために
長く使える座布団と四角い座蒲をお探しの方に
おすすめしたいのがこちら。
出典 : https://item.rakuten.co.jp/
一疋屋
臨済宗 ・ 座禅座布団 3枚セット
39,600円(税込み)
一疋屋は京都の老舗座布団屋さんです。
今回ご紹介するこちらの座布団は
堅牢さと風合いを兼ね備えたツムギの生地で
- 大・80㎝ × 200㎝
- 中・80㎝ × 80㎝
- 小・35㎝ × 65㎝
という豪華3枚セット!
注文生産で一点一点丁寧に仕上げるため
届くまでに1~2週間かかり
お値段も少々お高めですが、
それに見合ったクオリティーで
長くお使い頂くには最適な高品質商品です。
大サイズはお昼寝布団としても大活躍しますよ!
曹洞宗用の丸い座蒲や座布団カバーも
カラー・サイズともに品揃え豊富なので、
ぜひ一度ご覧ください。
② 座禅用座布団もニトリにお任せ!もちもちクッションも大人気
ニトリといえば、
低反発にNクール・Nウォーム、もちもちなど
目移りして選ぶのに困るほどの
多種多様な座布団やクッションがありますね。
「そんな本格的でなくてよいので
もっと気軽にちょこっと気が向いた時に
座禅をやりたい!」
という方におすすめです。
まず、床に敷く座布団にはこちらを代用
出典 : https://www.nitori-net.jp/
ニトリ
お昼寝マット(Nウォーム q-o ポーラーベア)
1,843円(税別)
床からの底冷えを気にせず座禅に集中できます。
クッションを座蒲として使う場合も
本来はパンヤがパンパンに詰まったものが
いいのですが、
体圧分散に優れた低反発素材も悪くないです。
出典 : https://www.nitori-net.jp/
ニトリ
あぐらもかける厚形フロアクッション
1,989円(税込み)
ニトリ
モチモチクッション(D40R)
799円(税込み)
こちらの厚形フロアクッションは
低反発素材を使用していて、
「あぐらもかける」と謳っているので
これだけでも座禅できますが、
高さ的にちょっと物足りなさを感じる方は
上にもちもちクッションを重ねてみてください。
ニトリのクッションはいくつあっても
普段使いでいろいろなところに置けますので
インテリアとしても楽しいですね!
③ たたんで持ち運べる空気注入式のAir ZAFU
座禅が習慣になってくると
職場の昼休みや出張や旅行で自宅外に
宿泊する時なども、
ちょっとしたスキマ時間や寝る前に
座禅したくなるかもしれません。
そんな方におすすめなのが
持ち運び便利なポータブルの座蒲です。
出典 : https://www.amazon.co.jp/
feel the ZEN
Air ZAFU
3,990円(税別)
空気を抜いてたたむとポケットサイズになるので
どこにでも簡単に持ち運べます。
また、耐荷重120kgなので、
大柄な男性でも安心して使えます。
⇒feel the ZEN のAir ZAFU ご購入はこちら
ひとつ持っていればいつでもどこでも座禅できて
便利ですね!
④ 座禅用座布団&座蒲と言えば永平寺御用達の西浦法衣店
福井市にある西浦法衣店は、
永平寺御用達の寺院用具・仏具用具店です。
こちらのお店は残念ながらHPが無いので
ご購入希望の場合は直接お店に電話して
お取り寄せすることになりますが、
知る人ぞ知る!といった質の良い座蒲を
製造販売しています。
連絡先 : 株式会社西浦法衣店
TEL:0776-22-6374
ネットショッピングが当たり前になっている
今だからこそ、
通販を展開していない老舗から
あえて昔ながらのお取り寄せ方法で購入する
というのもツウな感じでイイですよ!
まとめ
いかがでしたか?
足が痺れるのが怖くて座禅に躊躇していた方も
座禅に適した座布団と座蒲を使えば
痺れや痛みが軽減されて快適に座禅ができますね。
要点をまとめます。
- 座禅用座布団は 80cm ×80㎝ 程度
- 座蒲(ざふ)は座布団の一種で
座禅をする時にお尻の下に置くもの - 臨済宗の座蒲は四角く、
曹洞宗の座蒲は丸いのが特徴 - 座布団&座蒲は購入しても自作してもOK
ぜひ、お気に入りのマイ座布団&座蒲で
座禅の世界に浸ってくださいね!